6日目   アグラ - ジャイプル






 6日目  ファテープル・シクリと階段井戸(チャンド・バオリ)

  聖者の予言にちなんで造られた城
 
 今日は7:00朝食,ドア前にスーツケースを8:15まで出し、9:00出発。アグラを出て南西にほぼ40km。約1時間でファテーブル・シクリへ着く。ここはムガル帝国第三代皇帝アクバル帝の城跡。世継ぎに恵まれなかったアクバルは、ここに住む聖者シェーク・サリーム・チシュティーの予言により男児を生み、これにちなんで1571年首都をこの地に移す。3km×1,5kmの広大な土地を城壁で囲み、丘の上に、赤い砂岩で壮大な城を築いた。しかし、水不足が原因で、わずか14年で立ち去った。水を貯えるさまざまな工夫もしているが,過酷な気候には勝てなかったようだ。

  諸宗教の融和政策

  ファテーブル・シクリの建築様式は、イスラムの様式であるアーチやドームを多用せず、古くから仏教やヒンズー教の石窟寺院に見られる屋根や庇などに、木造建築の木組みを、石で表現したような様式にしている。アクバル帝は、広大な領土統治の安定の為に、諸宗教融和政策をこのようにして実践していたとされている。

 
  これまで見たこともない階段井戸

  その後、ほぼ3時間かけてアバネリへ向かう。ここには一辺が35mの四角形で、深さ 20m以上の巨大な階段井戸(チャンド・バオリ)がある。この階段井戸は、8~9世紀に、この一帯を治めた王によって公共の井戸として建造されたもの。雨季と乾季がはっきりしているインドでは、雨水を貯める施設が非常に重要だったようだ。たくさんの人が水を汲みに行けるよう、三方は無数の階段を作りながら掘り下げられ、一方は水辺で涼むための宮殿がつくられている。地下宮殿のような、日本では考えられない様式の井戸に圧倒される。

  
  貴重な彫像品が投げ込まれていた
  イスラムの侵攻により、隣にあったヒンズー教の寺院が破壊され,数々の石の彫刻品が、この井戸に投げ込まれ埋められていた。現在は、それらの彫像品が堀り出され周囲に飾られている。硬い石をよくこのように精巧に彫ったものだ。しかし、ほとんどの人物の鼻の部分が、何かで叩き付けられ破壊されている。当時起きた宗教戦争の悲劇的な様相が伺える。

  復元とは言えない復元

 その後、これらの彫像品が設置されていた隣の寺院に行く。徹底的に破壊された寺院を、取り敢えず復元したらしく、多くの彫像は周辺に転がっていた。もし破壊されていなければ、精巧な彫像に囲まれた歴史的に価値のある寺院であったろう。何かむなしい思いに捉われ、みんなでお賽銭を上げお参りをする。

 
  ピンクシティジャイプルへ

  その後一時間半かけ、ジャイプルの町へ向かう。ジャイプルはラージャスターン州の州都で、プルとは「城壁に囲まれた町」を意味するらしい。少し薄暗くなっていたので、あまりはっきりは見えなかったが、街中のどの建物も赤い色をしている。この町の旧市街の街並みがすべてピンク一色に統一されているため、ピンクシティとも呼ばれている。明日は一日ジャイプルの市内見学なので、太陽の光に照らされたピンクの町を見学できそうだ。


 今日宿泊するホテル「Country inn & suites」は、町の中心部に位置し、周辺は比較的近代的な建物も多い。やはりいつものように人と車で混みあっていた。
 
 

     
        ラクダを曳くおじさん        ファテープル・シクリの入場門 
     
     
         貴賓 謁見の間       柱の装飾は木組みを思わせる 
     
     
     これも木造の柱のようです     木彫りの壁ではありません。石造りです 
     
     
          道路横の露店            階段井戸を背景に 
     
     
     階段が整然と底まで続きます           掘り出された彫像品 
     
     
     取り敢えず復元された寺院     寺院の周辺には破壊された彫像品等が
  ごろごろと放置されていた