5日目   マチュピチュ遺跡







 

 5日目 マチュピチュに上る

  ハイラム・ビンガム

 マチュピチュの空中都市は、1450年頃、第9代インカ皇帝パチャクティによって造られたと言われる。スペイン軍は、インカの都市をほとんど破壊し尽くしたが、険しい山の上にあるこのマチュピチュは、破壊から免れ、歴史から忘れ去られていた。1911年、アメリカの歴史学者ハイラム・ビンガム(映画インディジョーンズのモデルと言われている)は、段々畑をよじ登り、この壮大な遺跡を発見、マチュピチュの空中都市は、400年の永い眠りから目覚めた.現在世界遺産に登録されている。


 シャトルバスに乗る
 
 今日は、いよいよ待望のマチュピチュに上る。6時に朝食を済ませ、遺跡見学の準備に取り掛かる。カメラ、イヤホンガイド、虫よけ、カッパ、傘、水、いろいろ詰めると、リュックはパンパンになる。ホテルを7:45に出発。バスの出る場所はホテルから直ぐの所にあるので全員歩いて向かう。バスの乗車券とパスポートを提出しバスに乗り込む。小型のシャトルバスで、定員になり次第出発。目的地のマチュピチュまでは、ほぼ30分。

 ハイラム・ビンガム・ロード

 川に沿って少し走ると、斜度40度位はあるような崖に道路がある。つづら折りのヘアピンカーブが幾重にも続き、かなり恐怖の連続である。バスの運転手さんは、慣れているのか、あまりスピードを落とさない。この道路はマチュピチュの発見者ハイラム・ビンガムにちなんで、ハイラム・ビンガム・ロードと呼ばれている。それにしても、これほどの切り立った崖のような斜面に、バスが通れる道を造るのは大変だったろうなと思う。かなり上った辺りから、斜面にへばり付くように、石積みの建物が垣間見えて、期待が次第に膨らむ。

 あのマチュピチュの全貌が目の前に

  バスの終点は、かなり狭く、大勢の人がトイレ待ちや待機で混雑している。かなり寒いかと予想していたが、さわやかな丁度良い気温だ。ゲートをくぐり、少し上ると、眼下にウルバンバ川と道路が見え、前方や周辺には、切り立った山々が見えてくる。
 
 急な岩の道路を登り、見張り小屋の近くまで来ると、あの見慣れたマチュピチュの全貌が見えてくる。この景色を見ると、いよいよあのマチュピチュに来たという実感が涌いてくる。うす曇りではあるが、空気も澄んでいたので、景色の隅々までくっきり見える。 眼の前にある整然とした遺跡を見て、大きな感動が湧いてくるというより、自分が現実にそれを見ているという実感が湧いて来ない。

 マチュピチュ遺跡を巡る
 
 見学のコース順に、「貯蔵庫」を見、「アンデネス(段々畑)」を見ながら、「見張り小屋」まで行き、しばし、撮影タイム。さらに「市街地入口」を通って、ここで石を切っていたという「石切り場」、「神官の館」、「聖なる広場」、「主神殿」を見て回る。以前から気になっていた「インティワタナ」はマチュピチュの遺跡群の中では、最も高い場所にあった。インティワタナとは、「太陽をつなぎ止める石」という意味で、日時計として使っていたという説もあるが、どうもはっきりしないようだ。「メイン広場」、「農業試験場」を通り、「聖なる岩」に来る。高さ3m、幅7mの大きな一枚岩で、聖なる力が宿ると言われている。ワイナピチュに上る登山入口はこの先にあった。ワイナピチュは非常に険しい山で、登山の人数も制限され、今回の旅行では登らない。

  ワイナピチュの頂上付近にも遺跡が

 肉眼ではあまり見えなかったが、一眼レフの望遠でワイナピチュの中腹を見てみるとたくさんの人が、崖のような登山道を登っている。頂上にも人が立って景色を見ている。そのすぐ下には、石組の建物が建っており、何故こんなところに、何の為に、しかもどうやって石を組んでいったのか? インカの人たちには驚かされるばかりだ。
 

 サイフォンの原理

 このころから、向かいの山の頂が、黒い雲に覆われて怪しくなってきた。少し急ぎ足で、「コンドルの神殿」、「皇帝の部屋」、「水汲み場」等を見て回る。所々にこの様な水汲み場があり、今でも水が流れている。何故この様な山の頂に水があるのか不思議なのだが、どうもインカの人たちは、サイフォンの原理を知っていて、遠い山から水を引いて利用していたらしい。また、ひと際石積みの美しい皇帝の部屋には、水を引いたトイレ、要するに水洗トイレがあった。この辺りから雨がパラパラと降ってきたので、急いで見て回り、アンデネスの横を通って、今日の昼食場所であるマチュピチュ・サンクチュアリ・ロッジのレストランに入る。

 ますます雨が激しくなる

 昼食の時から次第に雨足が激しくなり、土砂降りの様相になって来た。大方の遺跡は見たが、残りは午後から見て回ることになっていた。山の天気は変わりやすいから大丈夫と言う声もあったが、私たち数人は町に帰り、残りの人たちは午後も見て回った。

 バスに乗る時は、かなりの雨足だったが、マチュピチュの町に着く頃には、すっかり雨が上がっていた。シャワーを浴び、少しベッドで寝てから、街の中を、ブラブラ買い物をしたり、ビールやピスコサワーを飲んだりのんびり過ごす。 

     
マチュピチュ遺跡の全景
画像をクリックすると動画が始まります
(1分55秒)
   市街地入口
     
     
 遺跡通路から見張り小屋を見る    聖なる広場からインティワタナの丘を見る
     
     
三つの窓の神殿     居住区を前にして若者が休憩
     
     
 精巧な組み合わせを説明している   主神殿、右が地震の地盤沈下で傾いている 
     
     
 遥か眼下まで石積がある    この急な崖に、どのようにして石を積み上げたのか
     
     
巧みに組み合わせた岩    コンドルの神殿のコンドル
     
     
大きな石を利用した石組み    聖なる岩(高さ3m、幅7mある )
     
     
ワイナピチュ登山の入口 
   随所に可憐な花が咲いている
     
     
 ワイナピチュの頂上(頂上に立つ人、登山者、遺跡が見える)    花の種類は多い