4日目  トビリシから軍用道路をカズベキまで

  初めにムツヘタへ向かう

 昨日の就寝は1時近かったので今日の出発8時は中々きつい。あわただしく朝食を摂り準備を整え8時前にバスの乗り込む。初めに向かうムツヘタは、紀元前4世紀から5世紀まで、ジョージアの南東部で栄えたイベリア王国(スペインのイベリアとは違う)の首都だったところ。古い教会を含む街並みがユネスコの世界遺産に登録されている。

  バスは40分程で着き、始めにムツヘタの街を一望できる小高い丘の上にあるジュヴァリ教会に行く。ジュヴァリとは十字架という意味で上から見ると十字架の形をしているらしい。石造りのシンプルな教会だ。ここからの景色は素晴らしい。眼下の二つの川が交わる所にムツヘタの街が見える。たしか世界不思議発見で栃ノ心が紹介したのはここからの景色だった気がする。栃ノ心はムツヘタの近くで生まれ育ったという。

  ジョージア古来の製法で作ったワイン

 教会内部も一通り見てからムツヘタの街に入る。ここにはジョージアで最古のスヴェティ・ツホヴェリ大聖堂がある。この教会は11世紀頃再建されたもので、かなり大きくキリストの上衣の一部が埋められているという言い伝えもあり、歴代のイベリア王が葬られている由緒のある教会らしい。周辺にはお土産屋さんもたくさんあり、ジョージア古来の製法で作ったワインを購入した。(現在時点でまだ飲んでません)

  要塞だったアヌナリ教会 

 そこからジョージア軍用道路を一路北に向かい、アヌナリ教会へ行く。ここは川のほとりに立つ石造りの堅固な教会だ。かっては敵を迎え撃つ要塞だったそうで分厚い頑丈な造りになっている。前面の広場にはお土産屋さんが無秩序にひしめいてバスもやっと止まれるくらいだ。ここも湖岸に建つ古い教会で周辺の景色に溶け込み大変絵になるところだ。お店で売っていた網状の鎧と毛皮のような防護服が目に止まり、一瞬買おうかなと思ったが思いとどまった。教会内部を一通り見てから、更に軍用道路を北に向かい、かなり急峻な道路をコーカサスの山中深く入って行く。

  軍用道路はトリビシからウラジカフカスまで210km
 
 この軍用道路は18世紀末にロシア軍が軍用に造ったもので、トビリシから大コーカサス山脈を越え、北オセチア共和国の首都ウラジカフカスまでの全長210kmの道である。これは観光用としても、産業用としても重要な道路なので大型トラックが頻繁に走っている。途中大きなトレーラ同士が急なカーブを曲がり切れず溝にはまってしまい、全車が約1時間ほど動けなくなってしまった。やっと動き出したが、この急な崖の上で、狭く交差もできない。厳しいU字路の連続する道路で大きな事故でもあったら一体どうするのだろう。

  スキーリゾート地グダウリはアルプスに似ている

 事故車の間をやっとすり抜けて、更に登って行くと、斜面にへばり付くようにホテルや別荘があり、スキー場のリフトもある。ここはグダウリと言う町でジョージア有数のスキーリゾートらしい。オーストリアの会社が開発したせいかアルプスと同じ雰囲気だ。山頂の山々は雪をかぶり、青空に映えた景観は写真で見るアルプスと同じだ。昼食はこの一角にあるホテルでいただく。
 
  カズベキから天空の教会へ
 
 昼食後は更に上を目指し、標高2390mの十字架峠(ジュバリ)に達する。ここが長く険しい軍用道路の最高地点だ。そして今度は下りの道をひたすら走り、カズベキ(近年革命前のステパンツミンダに改称)の街に入る。後10km程でロシア国境に達するようだ。この町に来た目的は、ゲルゲティ・サメバ教会に行くこと。ここは周辺が高い山に囲まれ、山岳観光の拠点とされる町。多くの人たちはこの教会を目指している。私たちは4輪駆動車に分乗し、とんでもないでこぼこ道を約30分揺られて登る。町から歩いて登る人もいるが約2時間掛かるそうだ。

  天に一番近い教会

 教会近くまで車で行き、あとは徒歩に代えて景色を堪能しながら向かう。今日の極上の青空と、山々の頂に雪をかぶった景色を見る。振り返ると後方には雪をかぶった標高5047mのカズベキ山があり、この取り合わせは何とも荘厳な眺めである。教会の権威と人々の信仰心を獲得するには、やはりこの様な自然の配置が必要だったのだろうか。この景色を見ていると頷ける気がする。天に一番近い教会という言い方もここに来てみると納得する。教会内部は撮影禁止ではあったが、質素で素朴な雰囲気で聖職者が数人ここを守っているようだ。眼下にはカズベキの町の家々が豆粒のように見える。この教会の鐘楼で鳴らす鐘の音は一体どんな音色なのか、そして町の人たちはどんな風に聞いているのだろうか。しばらくこの壮大な環境のもとにたたずみ、最も天に近い教会の雰囲気を味わう。


 名残り惜しく教会を後にして、また四駆で町に戻り、バスでトビリシに向かう。途中十字架峠で下車し写真を撮り、次にスキーリゾートのスーパーで買い物をしてから、今朝出発したトリビシのホテルに21時到着。




ジュヴァリ教会 ジュヴァリ教会からの美しい眺め
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落ち着いたムツヘタの町 スヴェティ・ツホヴェリ大聖堂の通り
中庭には古いワイン造りの壺が埋められていた 家族連れ立ってのお参り
先程行ったジュヴァリ教会が丘の上に望まれる アナヌリ教会からの眺望
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教会内にはフレスコ画も残っている グダウリには5000m級の山が
スキー場にはまだ雪がありませんでした サメバ教会の鐘楼
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サメバ教会から見るカズベキの町
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絵になりますね!
聖職者たちとの記念撮影 カズベク山を背景に
振り返ってサメバ教会を見る
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十字架峠での日没を撮影