五日目  アルメニアに向かう  

  一路南に向かって走る

 今日は朝食後トビリシ観光に向かう予定だったが、時間調整の関係で急遽変更になり、アルメニアに向かうことになった。荷物をまとめ、すべて持参でバスに乗り込むことになり、かなり慌ただしい。8:00ホテルを出発し一路アルメニア国境に向け南下。約2時間半掛けて国境の検問所まで走る。すべての荷物持参でジョージア国内の施設で出国手続きをし、その足でアルメニアの建物で入国手続きをする。パスポートだけなので案外簡単な手続きだ。国が変わるのでバスもガイドさんも変わる。私たちが乗り込むとすぐに出発。一路南に向かって走る。

  アルメニアは世界で一番早くキリスト教を国教にした
 
 アルメニアでは、一応舗装はしてあるが、ひどいガタガタ道でかなりお尻にこたえる。山深く入って行き、更に険しい上り道を上がって行くと、ハフパト修道院がある。この修道院は近くにあるサナイン修道院と一体で世界遺産に登録されている。10世紀頃に建てられた堅固な石造りの建物で、ハフパトとはアルメニア語で「強い壁」を意味するらしい。ここは深く切り込んだ峡谷の台地の上にあり、修道院を中心に数百人の人たちが暮らしている。

 アルメニアは西暦301年に、世界で一番早くキリスト教を国教とした国(ローマ帝国は313年)で、その歴史の重みがこの修道院にも現れている。修道院の敷地内には土地が無いせいか、いたる所に修道僧の遺骸を埋めた墓が掘られており、石の棺の上が道路にもなっている。何とも申し訳なく思いながら歩くことになる。素朴な石造りの修道院内部を見学後、近くのレストランで昼食。土地が非常に狭い割には大きなレストランで、眺めが抜群にいい。私たちの他にも外国人(多分香港)の一団が昼食を摂っていた。

  アラヴェルディは銅山の町

 昼食後、元の先程走っていた谷間の道路に戻り、少し走ると銅山の町アラヴェルディが見えてくる。ソ連邦時代からの古い銅山らしく、設備はかなり古く錆びついたものが多いが、ここには500人位の人たちが働いているらしい。渓谷を流れる川の汚れや高い煙突は、かっての足尾銅山を思い起こさせ少々心配になる。

  
  紺碧のセヴァン湖に浮かぶ修道院
 
 しばらく山間(やまあい)の道を走ると、コーカサス地方最大の湖セヴァン湖が見えてくる。ここは標高1900m。ガイドさんによれば日本の琵琶湖の2倍ほどの広さがあるという。湖に突き出た半島が小高くなっており、その頂上にセヴァン修道院がある。今は半島ではあるが、以前ここは島で、ソ連時代に灌漑用に水を使い過ぎたため、湖面が下がり半島になっってしまったと言う。

 この日は雲一つない晴れた日で、半島の丘の上には、尖塔を持つ石造りの修道院があり、まるで絵画を見るような心憎い情景である。紺碧の湖の向こうには真っ白に雪を頂いた山々が蜃気楼のように浮かんでいる。修道院の素朴な佇まいもまた一段と趣を引き立てている。麓にはお土産屋さんもたくさんあり、しばらく写真撮影と買い物を楽しんだ後、バスに乗り込む。ここから約1時間で首都エレヴァンに到着予定。

 
  山々に木が無い! 

 ふと気が付くと、バスから見える山々には、どこも木がほとんど生えていない。丸坊主の山の連なりである。あまりに異様なのでガイドさんに聞いてみると、ソ連邦が崩壊し経済がどん底に陥り、冬の燃料にも事欠いてしまった。その時多くの男たちが山に入り、ほとんどの木を切り倒し燃料にしてしまった。そのため山がはげ山になってしまったと説明してくれた。ガイドさんにそれは冗談でしょうと言うと、いや事実ですと言う。思わずうなってしまったが、エレヴァンまでの沿線はずーっと同じ様相の山々だった。

  首都エレヴァンは意外に近代的な町

 首都エレヴァンは意外にも近代的な整った街並みで、人口130万の大都会でした。ホテルには21時到着。ホテルの隣にはアルメニアの有名なコニャックを造るアララト・ブランデー工場がある。
 
 このホテルは予想外に立派で設備も良く安心したが、夕食後シャワーを浴びてるうち、次第に温度が下がり冷水状態になってしまった。あわてて上がったが身体が冷えてしまい、風邪を引きそうなのでビールを飲んで寝ようと冷蔵庫からビールを取り出し、いざ飲もうとしたら栓抜きが無い。必死に探したがやはり探し当てず、悔しい思いをしながら、備え付きのバスローブと、持参のパジャマとを重ね着してベットに潜り込んだ。


この橋の中間線がジョージアと
アルメニアの国境
ハフパト修道院
通路には修道僧の遺骸を葬った石棺が埋めてある ハフパト修道院の内部
内部も堅固な石造りでした おばあさんが一人で読書をしていた
印象的な光景でした
大きなバチュカル(十字架石) お土産屋さんも何軒かありました
渓谷の中や高台には家々が
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半島の丘の上にセヴァン修道院
セヴァン修道院と若者 セヴァン湖と雪を頂いた山々
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セヴァン修道院の丘の麓にはたくさんのお土産屋さんが 首都エレヴァンの街並み