七日目 エレヴァンからトビリシへ(ここをクリックすると地図が出ます)

 重厚ながら明るい共和国広場

 今回の旅行は、今日が最後と思うと何かあっけなく物足りない気もするが、このくらいが我々には丁度いいような気もする。今日はこのまま日本に向かう飛行機に乗るので、荷物をすべてまとめてバスに乗り込む。 始めに、昨日の夕食後見た共和国広場に行く。昨日は色とりどりの噴水ショーをやっていたが、朝は静かな佇まいだ。広場には歴史博物館、中央郵便局、マリオットホテル、財務省、電話局等が周りを取り囲むように建てられており、カラフルなバラ色の凝灰岩が使われているため、重厚でありながら明るい一角を形成している。昨日見た噴水ショーも人気があり、ここは市民の憩いの場にもなっているようだ。

 アルメニア文字を記念した文字公園

 ここから少しバスを走らせ、アルメニアで最も高いと言われるアラガツ山(4090m)の山麓にある文字公園に行く。紀元404年聖人メスロブ・マシュトツによってアルメニア文字が作られたのを記念して、38の文字と2つの合字のモニュメントが置かれている。ジョージアの文字も変わった文字と驚いていたが、このアルメニア文字も、同じように不思議な文字である。何の変哲もない高原に、一つ一つの文字のモニュメントや、聖人の像、十字架が建てられており、背景には今日の青空のもと、アラガツ山がくっきりと聳えている。小高い丘に巨大な十字架が立っているが、どうも大小織り交ぜた十字架で構成されているらしい。近くに行くとたくさんの十字架が張り付いているのが見える。

  壺の中で焼く美味しそうなパン

 文字公園を見学後、バスで国境に向けて走る。アパランの町のスーパーマーケットでトイレ休憩。結構立派な中規模のスーパーで、皆さんお土産を買うのに余念がない。興味を引いたのは、大きな丸い壺の中で、インド料理のナンを焼く要領で、大きなパンを焼いていたこと。食欲をそそる香ばしい匂いで、何人かの人は買っていたが、あまりにも大きいので買うのを諦める。後で買った人から少しご馳走になったが、余計な甘みも無く、素朴で飽きない味だった。

  アルメニア地震の震源近くを通過

 更に進むとスピタクという町に入る。ここは1988年12月のアルメニア地震の震源に近く、この町だけでも4,000人の人が亡くなったようだ。そしてこの周辺では4万人の死傷者が出て、40万人以上の人が家を失ったと言う。現在は大分復興しているようだが、コーカサスでもこの様な大きな地震が起きるとは驚きだ。
 
 以前アルメニアの山には木が無いことを紹介しましたが、珍しくこの辺りの山の裾野に、木が生えているのを発見。少しホッとしたが複雑な気持ちでもあった。

 更にバスは進み、一昨日通った谷あいの銅山の町アラベルディを通過する。先程私たちがいた場所はかなりの高台だったのか道路はひたすら下って行く。そして2日前越えた国境の検問所を通り、一路ジョージアのトリビシに向かう。印象としては、やはりアルメニアの少し停滞した感じから、ジョージアに入ると、人や車の動き、街並みや活気が明らかに異なるようだ。

  メテシ教会
 
 これからは二日前に予定していたトビリシ市内観光に入る。始めにトビリシの中心部を流れるムトゥクヴァリ川の切り立った崖の上に立つメテシ教会に行き、ここからトビリシの街を望む。主要な建物はほとんどここから見ることが出来る。川を挟んだ丘の上にはナリカラ要塞、その下には温泉街、川のこちら側の右手には、大統領府とジョージア正教会の総本山となっているサメバ大聖堂が見える。そしてその下には、ナリカラ要塞と結ぶロープウェイの発着場が近くにあり、ゴンドラが忙しそうに行き来している。

 しばらく眺めたり写真を撮ったりした後、メテヒ教会の内部を見学する。もともとこの場所はイベリア王で、トビリシの創設者ワフタング・ゴルガサリの要塞と宮殿があった場所で、現在の教会は13世紀頃建てられたもの。旧市街を望むテラスにある馬上の人物はワフタング・ゴルガサリのもの。内部の絵には、モンゴル人により征服された当時の生々しい絵が描かれており、ここでも恐ろしい大量殺戮事件があったことを窺わせる。

  繁華街ゴルガサリ広場

 ここから川を渡り、目と鼻の先にある賑やかで観光客の集まるゴルガサリ広場に出る。お土産屋さん、カフェ、レストラン等が軒を連ねた繁華街である。ブラブラ歩きをしながら街並みを通り、ユダヤ教の会堂「シナゴーグ」の内部を見学し、更に、長い間ジョージア正教会の総本山と言われた「シオニ大聖堂」の内部を見学する。上から見ると屋根が十字架になっており、戦乱に会い何度も再建されたらしい。そぞろ歩きの途中の広場で、角(つの)で出来たワイングラスでジョージアワインを飲む面白い像があったので、記念に写真を撮って貰う。

 トビリシではまだまだ見たいところがたくさんあったのですが、時間が限られていたため、かなり不満が残ったがやむを得ずバスの乗り込む。トビリシのホテルには2泊したが、実際トビリシ見学は、今日の数時間のみ。
  
  帰路も同じドーハ経由
 
 トビリシの空港でも、結構慌ただしく出国手続きをし、21:35カタール航空358便に乗り込みドーハに向かう。ドーハには23:35到着、来た時と同じようにドーハの空港で待機、1:55カタール航空806便で成田に向かい、ほぼ10時間かけ、11月1日17:55成田着。成田からはいい時間に千歳行きが無いので品川泊まり。翌日羽田から千歳に向かい、何事もなく無事札幌に到着。

 比較的短い旅ではありましたが、未知の世界を垣間見ることができました。そして、それぞれの国や地域には、重く深い歴史を抱えており、強い衝撃を受けた旅行でもありました。


共和国広場にある歴史博物館
左はアルメニアのガイドさん
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エレヴァン近郊にあった
大きなマンション
エレヴァンの文字公園
背景の山はアラガツ山
文字公園にあるたくさんの十字架で
構成されている巨大な十字架
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文字公園から見たアラガツ山
(右側、4090m)
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アパランの町のスーパーで
焼きたての大きなパン
熱した大きな壺の内側に
張り付けて焼く
メテヒ教会からの景色
右側奥は大統領府
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メテヒ教会からの景色 メテヒ教会からの景色
手前は屋根付きの平和橋
メテヒ教会からの景色
ロープウェイが見える
メテヒ教会内部の絵画、橋の上でモンゴル兵が子供を殺戮しているのが描かれている
馬上の像はイベリア王の
「ワフタング・ゴルガサリ」
繁華街のゴルガサリ広場
ユダヤ教の会堂「シナゴーグ」 シナゴーグの内部
質素な雰囲気でした
シオニ大聖堂、長い間ジョージア正教会の総本山だった シオニ大聖堂の内部
ツミンダ・サメバ大聖堂
現在のジョージア正教会の総本山
トビリシ空港の出発時刻表